告訴・告発をしましたが、実は嘘の事実に基づくものです。どうなりますか
虚偽の告訴をした場合は、国家の適正な刑事司法作用が害されることとなるので、虚偽告訴罪(刑法172条)に該当する可能性があります。同罪が成立するためには、以下の三点が必要となります。
- 人に刑事又は懲戒の処分を受けさせる目的
- 虚偽の告訴、告発
- その故意
「人に刑事又は懲戒の処分を受けさせる目的」は、未必的認識で足りると解されています。
(2)「虚偽の告訴、告発」をすることとは、客観的真実に反することと解されています。したがって、自分では事実と異なる虚偽の事実を告訴したつもりでも、たまたま結果的に客観的事実と合致していた場合は(2)「虚偽の告訴、告発」にあたりません。
(3)故意については、申告内容が虚偽であることの認識を必要とし未必的なもので足りるとされています。したがって、客観的真実に反していたとしても、申告内容が虚偽ではないと信じていた場合は、(3)故意がないということで本罪は成立しません。
また、申告した事件について、その裁判が確定する前に自白したときは、その刑を減軽し、又は免除することができるとされています(刑法173条)。本罪の保護法益が国家の適正な刑事司法作用にあることから、裁判が確定する前に自白することによって、適正な裁判を維持することが可能となるので、刑を免除することが認められています。