告訴・告発したにもかかわらず、検察官が起訴または不起訴処分を行わない、又は行ったとしても不起訴処分をした場合に、検察官のかかる行為は違法であるとして争うことはできますか
検察官は行政庁ですので、行政事件訴訟で争うことが一応考えられます。起訴又は不起訴処分を行わないことは、行政庁が法令に基づく申請に対して相当の期間内に何らかの処分をすべきであるのに関わらずこれを行わないとして、「不作為の違法確認の訴え」(行政事件訴訟法3条5項)を提起することが考えられます。また、不起訴処分をしたことに違法があるとして、「処分の取消しの訴え」(同法3条2項)や国家賠償請求(国家賠償法1条1項)をすることが考えられます。しかし、捜査や公訴提起は被害者の権利回復や権利保護のために行われるものではなく、犯人を処罰する国家及び社会の秩序維持という公益のために行われるものですので、被害者が法律上保護された利益を有するものではないとした最高裁判例があります(最判平成2年2月20日)。告訴・告発をしたとしても検察官が起訴しなければ、検察審査会や付審判請求以外に採るべき方法はないのが現状です。したがって、検察官の行為が犯罪行為に当たるような場合以外は、その違法を争うことはできないと考えられます。