会社の顧客情報を盗む者として、従業員、すでに退職した元従業員、システム管理を外部に委託している場合のシステムエンジニア(SE)または、ハッカー等インターネットを通じて侵入してきた第三者が考えられます。これらの者が情報をプリントアウトして持ち出した場合や会社の器具にコピーして持ち出した場合は、会社の顧客情報が化体した紙や器具が財物にあたり、その財物を窃取したものとして窃盗罪が成立することが考えられます。また、会社の資料をそのまま持ち出した場合は業務上自己の占有する財物を領得したものとして業務上横領罪が成立することが考えられます。しかし、その従業員が自分のUSBメモリ等にコピーして持ち出した場合やハッカーがインターネットを通じて侵入し情報を取得した場合には、情報そのものは財物にあたらず、窃盗罪は成立しません。
もっとも、(1)秘密として管理されていること、(2)その情報が有用であること、(3)公開されていないこと、という要件を満たす場合には別途不正競争防止法違反の対象となり、処罰の対象となります。
顧客情報は、会社の重要な取引先であり他者に知られてはならない情報なので以上の要件に該当し、不正競争防止法に違反することとなるでしょう。
このような顧客情報が盗まれ情報が漏洩すると、会社は賠償金を支払うこととなり、さらに会社のイメージや信頼を損なうこととなり多大な損害を被ることとなります。会社としてやるべきことは、早期に原因究明を図るほか、加害者を発見し、このような犯罪を繰り返させないためにも適切な刑罰を受けさせることが必要となります。また、このような犯罪は秘密裡に行われますので、犯罪の証拠、取得した情報を隠滅することや行方をくらましてしまう可能性もあります。したがって、早急に告訴の準備をする必要があります。告訴は、必要な証拠の収集等専門家に任せるべきことが多いといえます。まずは日比谷ステーション法律事務所へご相談ください。