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不正指令電磁的記録に関する罪(ウイルス作成罪)

不正指令電磁的記録に関する罪とは

本罪は、コンピューターウイルスに係る犯罪で、コンピューターウイルス等を作成・提供・取得・保管した場合に適用される刑法上の犯罪です。コンピューターウイルスを作成・提供した場合は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科されます。また、コンピューターウイルスを取得又は保管した場合は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金が科されます。

被害の態様

本罪は、実際に被害が発生していなくても、ウイルスを作成・提供・取得・保管すれば成立します。ウイルスが提供される経路としてはメール、ホームページ、USBメモリ、スマホの不正アプリ等が考えられます。
メールについては、FAX機器からのメールや取引先からのメールを装って送信され、危険な添付ファイルを実行させることによってウイルスの提供がなされます。
ホームページについては、「あなたのパソコンの性能が低下しています」「ウイルスに感染している可能性があります。無料診断ツールをご利用ください」といった文言でユーザーの不安を煽り、必要なソフトウェアであるかのように装いインストールさせてウイルスの提供がなされます。また、JavaやAdobe Acrobat Readerの脆弱性(ソフトウェアの弱い部分)を利用し、ホームページやPDFを閲覧しただけで感染してしまう場合もあります。
USBメモリについては、USBメモリを介してウイルスの提供がなされます。企業のクローズドネットワーク(クレジットカード部署など、扱う情報の機密性から外部ネットワークに繋がっていない部署)を標的とする場合に、攻撃者がUSBメモリを介して侵入する方法がとられます。
スマホの不正アプリについては、スマホからアプリをダウンロードする際に感染することとなります。Apple StoreやGoogle Playからダウンロードしたゲームをインストールしたら、アドレス帳のデータを全て取られてしまったという事例があります。たとえ公式サイトからのダウンロードであっても、そのゲームが必要とする権限が何なのかをきちんと確認し、「ゲームなのにアドレス帳を読む権限を必要としているのはなぜか」といったことを考え、正当なアプリなのかどうかを確認するべきです。
メールやホームページを使ったもの以外でもネットワークを使ってウイルス感染することが多く、ソフトウェアをアップデートしようとしてウイルスがインストールされたり、IT機器メーカーからファームウェアをダウンロードしようとしたところ、ファイルが保存されているサーバーが改ざんされており、ウイルスがダウンロードされた事例があります。

予防・対策

攻撃者は巧妙な方法を使用しており、一般ユーザーがその全てを理解して身を守るのは困難です。身を守るためには、以下の基本的な事柄を守っていくことが重要になるでしょう。

被害にあったら

ウイルス感染による最大の被害は、パソコンが壊されてしまうことよりも、ネットワークを通じて様々な情報が盗まれてしまうことです。パソコンに保存されている情報が不特定又は多数に拡散され使用されることとなり、プライバシーが脅かされることとなるでしょう。そこで、もしパソコンでウイルスの感染に気付いたら、LANケーブルを抜いたり、Wi-Fiから切断したりして、まずパソコンをネットから切断することが必要です。このようにすることにより、もし壊されることはあっても、それ以上情報を盗まれることはありません。この後は、別のパソコンやスマートフォンから、そのウイルスへの対応方法を調べるのが良いでしょう。また、インターネットを介した不特定の者を標的とするだけではなく、あらかじめ狙いを定められた特定の人物に対してウイルスが仕掛けられる場合もあります。被害に気付き、もしその犯人に心当たりがあるならば早めに専門家に相談するべきです。

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