本罪は、コンピューター等人の業務に使用する電子計算機若しくは記録を損壊し、若しくは虚偽の情報若しくは不正な指令を与えるなどして誤作動等をさせて業務を妨害した場合に成立し、5年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科されます。
コンピューターやそのデータが削除・破壊等された場合に本罪が適用されることとなります。さらに、以下のような行為も本罪に該当します。
なお、2003年頃から、Winnyと呼ばれるP2Pソフトウェアを通じてAntinnyと呼ばれるウイルスが流行しました。これは通称「暴露ウイルス」と呼ばれ、動画などを装っていました。動画を閲覧しようとすると、そのパソコンに感染し、そのパソコン内にあるファイルを勝手に公開してしまうというものでした。このウイルスの感染力は高く、自衛隊、裁判所、刑務所、学校などで機密性の高いファイルが公開され話題となりました。そこで、このような「暴露ウイルス」が本罪に該当するかが問題となりますが、本罪はウイルスの提供を処罰するものではないので、ウイルスが提供されてもウイルスを実行したのが被害者本人であれば、ウイルスが電子計算機等を「損壊」したとはいえず、本罪にあたりません。この場合は、別罪である不正指令電磁的記録に関する罪(ウイルス罪)で処罰されることとなります。
まず不正指令電磁的記録に関する罪(ウイルス罪)と同様の対策をする必要があります。その上で、対象がサーバーである場合は以下の対策を取ることが必要です。
サイバー犯罪では「デジタルフォレンジック」と呼ばれるパソコン内にあるデジタルの証拠集めが重要となります。本罪では特に障害の痕跡やアクセス履歴が残っているうちにどう対処すべきかが重要となりますので、障害が起こってからなるべく早く専門家に相談する必要があります。稼働に応じて証拠は消えていきますので、できればサービスを停止するか、別のサーバーを使用するのが望ましいといえます。いずれにしろ、早い段階で専門家と話し合うのが良いでしょう。