ストーカー行為は、ストーカー行為等の規制等に関する法律で規定されており、ストーカー行為とは、同一の者に対して、つきまとい等を反復してすることをいいます(同法2条2項)。つきまとい等とは、以下のいずれかにあたる場合をいいます(同法2条1項)。
1.から4.については身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法で反復して行われる場合にストーカー行為にあたるとされています(同法2条2項かっこ書)。
つきまとい行為等をされた場合は警察にさらに反復して当該行為をしてはならない旨を警告してもらうことができます(同法4条)。また、警告を受けた者が警告に従わない場合は禁止命令等を命ずることが可能となります(同法5条)。
ストーカー行為の罰則は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金です。これは親告罪となっていますので、告訴がないと公訴提起がされません。また、禁止命令等に違反してストーカー行為をした者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金となります。ストーカー事案の認知状況は、警察庁の統計によると年々増加し、平成25年には21,089件となり法施行後最多となっています。また凶悪な事件に至っている場合も多くあります。
我が国ではストーカー行為が増加しており、社会問題化しています。さらに殺人等の深刻な被害に発展するケースも発生しています。平成25年の警察庁の統計によると、ストーカー行為者の属性は、交際相手(元交際相手含む)が51.8%、配偶者(内縁・元含む)が9.1%で配偶者及び交際相手で約6割を占めており身近な人から被害を受けているケースが多いといえます。ストーカー行為の発生状況として、面会・交際の要求が52.3%、つきまとい・待ち伏せ等が51.5%、無言電話・連続電話が31.1%、乱暴な言動が21.6%、監視していると告げる行為が7.4%となっています。
ストーカー行為者の属性は配偶者及び交際相手で約6割を超えます。しかし、面識のない人物から被害を受けるケースも増加していますので注意が必要です。平成24年8月には神奈川県逗子市でストーカーによる殺人事件が、平成25年10月には東京都三鷹市でも殺人事件が発生しましたが、いずれも警察に相談していたのに警察が積極的に動かなかった間に事件が発生してしまいました。警察に相談したり、被害を訴えても警察はなかなか動かないのが現状でした。最近は警察の対応は改善しているようですが、法律に該当しない限りやはり警察は動けません。自分の身は自分で守ることが大切です。そのために、防犯のための道具を準備すること及び自分の行動を見直すことが必要と考えられます。具体的には、自宅のポスト・ドア・カーテン・ベランダなど家と外との接点でご自身の情報、たとえば女性が住んでいること等がわからない工夫をすることが重要です。また、行動面では、帰宅時にあとをつけられないように、コンビニに無駄によらないこと、人通りのない道を通らないことやエレベーターに知らない人と乗らないことなどが大切です。
もっとも、本人がいくら気をつけていたとしても、いつストーカーに付きまとわれるかは不可抗力であり、誰でもストーカーから被害を受ける可能性はあります。ストーカーに目をつけられると、大量のメールを送られたり、監視されたりと、不安な日々を送ることを余儀なくされてしまいます。一方で、放置したり、他の人に間に入ってもらったり、逃げ続けるとかえってエスカレートしかねません。最終的に解決するためには、やはり警察に逮捕してもらい、刑罰を受けてもらうしかありません。
したがって、警察にいかに動いてもらうかが重要となります。平成25年7月にストーカー規制法が改正され、拒まれた相手への執拗な電子メール送信もつきまとい行為に追加される等ストーカー対策が強化されました。しかし、警察が動かなければ全く問題解決にはならないでしょう。早く動かなければストーカー行為がエスカレートし重大な結果を招きかねません。できるだけ早く警察に積極的な行動を働きかけることができる専門家に相談すべきです。
日比谷ステーション法律事務所では、捜査に長年従事し、経験豊富な元検察官の弁護士が中心となり警察に働きかけます。